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※簡単な調理法はこちらをクリックすると別画面で印刷できます。

調理開始


1、五島うどんを茹でる。



     それでは今回は、五島うどんを使った「あったか豚ねぎうどん」の作り方を
     ご説明いたしましょう。まず最初は五島うどんを茹でることでございます。
     茹で方は「五島炊き」の項でご説明させて頂いたうちの、


     以上の段落番号の内容をご参考になさって頂ければ、幸いでございます。
     →五島炊きの作り方を見たい方はこちらをクリック。

     ただし、ご注意点が一つだけございます。
     それは、「五島炊き」の五島うどんの茹で方と今回の料理に使う五島うどんの
     茹で方は違う、という点でございます。


     今回の料理は上の写真のように、アゴダシスープの中にうどん、そこに炒めた
     豚肉とねぎが「上にのっている」というものでございます。
     ですから今回の茹でている五島うどんは「茹でたのちに、一度ザルにあげ、
     アゴダシスープで下味をつける」ものということになります。
     ザルに上げる、スープで下味をつけるという2つの所作ではほとんど五島うどんに
     熱を加えることはございません。つまり、茹でだしうどんの時の様に
     食べるときのことを考えた、「食べ頃になるちょっと前の硬さ」ではなくて、
     「食べ頃の硬さ」まで茹でて頂いてよろしい
と存じます。


2、五島うどんをザルにあげる。



     五島うどんが「ちょうど食べ頃の硬さ」になりましたら、
     五島うどんをすべてザルに上げましょう。お鍋からザルに上げるとこのようになります。
     上の写真をご覧になれば至極簡単な工程に見えますでしょうが、そこには、

      ・お湯と五島うどんがたっぷりと入ったお鍋をザルの頭上の高さまで持ち上げる
       (重さ・腕力の問題)
      ・高温のお湯を手にこぼさずに動かし、五島うどんをザルに上げた状態の時、
       高温の蒸気を被らないようにする(熱さ・技術力の問題)
      ・使い終わったお鍋を素早く洗い、片付ける(めんどくささの問題)

     以上3点の大変高度な問題が隠されていることに気づく方は、案外と少ないのでは、
     私、老婆心ながらご危惧致しております。
     この問題を毎回いともたやすく解決されている調理担当の方に、なにかしらの
     資格を設けてもよろしいのでは、
そこまでの考えには私至りませんでしたが、
     羨望・尊敬のまなざしの一つ、あってもよいのではないのかとは考えます。

     かように申しますと、初心者の方、それも腕力、技術力、めんどくさがり屋等の皆様は
     怖がってしまうのではないか、とご心配される方もおられましょう。
     このような時のために、以下に解決策をいくつかご提示させて頂きます。

      解決策その一、自分のまわりにいる、調理上達者に代行して頂く。
       (お願い例)
         『お母様、ちょっと他の用事を思い出しまして、すいませんがこれ
       ちょっとザルに上げておいて下さいますか』
      『聡子さん悪いんだけど、このお鍋のうどん、
       ザルに上げて下さらないかしら。
       最近どうも腕の関節が痛くて・・・』


      解決策そのニ、腕力に自信のある方に、代行して頂く。
       (お願い例)
         『雄ちゃん、雄ちゃんてば、ちょっとこれザルにあげておいて。
       ほらちゃんと持って、そうそう・・・・・・はい、ありがと』
      『雄ちゃん、ちょっとこの鍋の五島うどんザルに上げておいて。
       なによ、さっきはお義母さんの荷物二階まで運ぶの手伝えたくせに。
       ねえ、私のお願いは聞いてくれないの。…はいはいブツブツ言わない。
       あ~あ、結婚する前はもっとやさしかったな・・・あ、お義父さん、
       お義父さんは結構です、大丈夫ですから新聞でも読んで・・・』



3、アゴダシスープを作る。



     では今度は「あったか豚ねぎうどんのつゆ」となる、アゴダシスープを作りましょう。
     このアゴダシスープはのちほど、ザルに上げた五島うどんを入れて
     固まった五島うどんを湯がき、下味をつけながらほどいてゆく、という工程や、
     うどんスープとしても使用します。作り方については「五島炊き」の


     の段落番号をご参照下さいませ。
     →「アゴダシ」の作り方はこちらをクリック。

     また、本格的なアゴダシスープを使いたい方は、
     「本格的!アゴのダシの取り方」をご参照下さいませ。
     →「本格的!アゴからのダシの取り方」の作り方はこちらをクリック。

     ただし、今回は「つけうどんのつゆ」としてではなく、「うどんスープ」として
     使用しますので、粉末をご使用される方は通常の『粉末10gに300ccほど』では、
     少々、味が濃くなります
。この「味の濃い薄い」については、関東・関西の
     「うどんスープの濃い・薄い」の違いがつとに有名でございますように、
     そのほかの地域や、強度に根付いた文化、各個人の嗜好等で味の好みが
     全く違うと存じます。ですからここでは細かい用法等は記載いたしません。
     アゴダシの濃さについては皆様の味の好みにお任せ致します。
     また、本格的アゴダシのつゆの場合は工程の中での「味付け」の段階で
     お好みでお味を調節なさいますと、よろしいのではと存じます。


4、具材を食べやすい大きさに、切る。



     それではこれより、五島うどんに載せる「具」を作ることに致しましょう。
     具材は豚のバラ肉と玉ねぎ、わかめとなっております。もし玉ねぎがお家にない場合は、

     ・スーパー、八百屋に行って買ってくる。

     をする前に、是非冷蔵庫の中にある野菜をもう一度ご確認されることを
     お勧め致します。

     その時にもやはり玉ねぎがなかった、そのような場合ですがもし、
     「長ねぎ」は見つかったとしたら、私でしたらその場で

     「ダブルチャンス」

     と大きな声で申し上げたい心境になるでしょう。
     なぜならこの料理、玉ねぎの代わり、いや又別のおいしさとして長ねぎを
     ご使用されてもよろしい
のです。もちろん、「今日は玉ねぎも長ねぎも両方あるわ」
     という、そのどちらもある場合はどちらを使われても、両方使われてもよろしいのです。
     例えば、この後にご予定されている料理を考えて選ばれてもよろしいですし、
     その他、

     ・食べたいご希望
     ・食材の鮮度の順
     ・その日の気分・易学・タロットカード・水晶等の占いの結果
     ・巨人、もしくは阪神が勝ったか、負けたか・義理の母の顔色
     
     等、どのように選んでいただいても結構です。

     材料の量ですが、4人分ほどで豚バラ肉が200g、玉ねぎ、または長ねぎは炒めた時に
     豚肉と同じくらいのボリュームになる程度に(玉ねぎの場合は2玉ほどです)、
     わかめも炒めた豚肉のボリュームと同じほど。また乾燥わかめの場合は
     増えることを考えて取り出し、あらかじめ水で戻しておきましょう。
     具材の切り方ですが、一口で食べやすいように切っていただいて結構です。


5、フライパンをよく熱する。



     具材を切られましたら今度はフライパンを用意し、油、具材を載せる前に
     よく熱しましょう。最近はとても便利な世の中になりまして、
     適度な温度をフライパンの底の色模様でお知らせしてくれるフライパンもございます。
     まあそのようなフライパンをお持ちでない場合でも、熱せられたフライパンを見て、
     「かなり熱せられたな」
     と思われた頃合いでも結構です。
     しかし物には限度と言うものもありますし、十分に熱せられなかったとしても
     後々炒める時間を延ばせばよろしいのでこの段階では「笑えないようなこと」には
     ならない程度の熱し方で結構です。


6、フライパンに油を、ひく。



     フライパンを熱しましたら、そこに油をひきましょう。
     この時重要なのが豚のバラ肉にもかなり多めの油が出てくる、という事実でございます。
     ですからここで、例えばサラダ油を多めにひかれますと、豚バラ肉を炒めた際に
     豚のバラ肉から出てくる油の量が足され、「かなり多めの油」になる可能性があり、
     「炒めている」と言うよりも「揚げている」という表現になるほどの事態に
     なりかねないことが大いに懸念されます。

     その後のたまねぎ又は長ねぎ、わかめもそのような多めの油を必要と
     致しておりませんので、油は小さじ一杯未満の「ほんの少し」、
     繰り返しますが小さじ一杯未満の「フランパンに油が薄く行き渡る程度」、
     繰り返しますが小さじ一杯未満の「最初に炒める豚肉がフライパンに
     引っ付かない程度」、「フライパンがちょっと濡れているような見た目になる程度」、
     「後でフライパンの量を毎回調理するたびに確認している義理の母にも使ったか
     使わなかったかがわからない程度」の量で結構です。

     又、テフロン加工されているフライパンでしたら、
     そのまま熱しただけでも結構と存じます。


7、豚バラ肉を炒める。



     さて、お待たせ致しました。
     いよいよ「あったか豚ねぎうどん」の具材調理に取り掛かることに致しましょう。
     最初に、豚バラ肉を炒めます。フライパンに入れた瞬間、ジューと音を立てる
     豚バラ肉は、事前にフライパンが熱せられた温度によってはさっそく脂身から肉汁と共に
     脂が出てくることでしょう。おいしそうと思える瞬間です。

     この時、気をつけなければいけないポイントをご紹介致しましょう。
     それは「焦げ目が少しつくぐらいまで炒めること」でございます。

     これはどうしてかと申しますと、今回は五島うどんの上にのせる具材としての
     調理ですので、パリッとした食感になるまで炒めないと、うどんのスープで
     ヘナヘナとなり、見た目にも食感としても、あまり頂けません。
     また、今回はここに玉ねぎ、または長ねぎを加えます。
     豚バラ肉の脂身から出てくる脂、肉汁は野菜の具材と炒めると、とてもおいしくなる
     重要な「調味料」になるのはご存知ですよね。実は豚肉の脂身にはおいしい香りの成分が
     多く含まれているという研究結果があるそうで、豚バラ肉を焦げ目がつくほど
     炒めることで肉の旨み、脂身が多く外に出て、他の具材と絡み、全体の味を
     ぐっとおいしくさせる
のです。

     またこの時、気をつけなければならないポイントをもう一つご紹介致しましょう。
     それは、
     「このまま塩かしょうゆで味付けて食べた方がうまいじゃないの」
     という疑問です。

     最近、若年層の方で、毎回豚肉を使った調理の際に、このような邪念が頭をもたげ、
     しかもとても楽だという理由から、結果、晩ご飯のおかずに「豚肉炒め」ばかりが
     増えている、というお話は今私がでっち上げたものですが
     疲れた時に調理をされたことのある方なら、誰しもが一度は考えたことが
     あることではないでしょうか。そのような時の解決策としては、

     ・先に「今日のおかずは(あったか豚ねぎうどん)よ」と宣言しておく、
      もしくは他の調理(例うどん茹で、他の具材も切る)をすませる、など
      自分を「もう、のっぴきならないところまできているのだ」と追い込む

     という方法がよいでしょうか。
     ですが、何事も限度というものがあります包丁片手に
     「豚バラで洒落にならないところまで」は自分を追い込まない
     ということは常に肝に銘じましょう。


8、塩コショウ、粉末のアゴダシの素と
  お砂糖を少々加える。



     豚バラ肉にほんのりと焼き色がつきはじめた頃に、全体の味付けとして
     塩コショウを少々、お砂糖を少々、粉末のアゴダシの素を少々加えましょう。
     アゴダシを加えるのはこのあとにのせる五島うどんもそうですが、全体の味のベースを
     「アゴのダシ」にすることで味に統一感が出てくるからでございます。
     また、本格的にアゴからダシを作られた方はだし汁になっていると思いますし、
     それを少しずつ日陰において乾燥させ粉末状になるまでこの料理はストップする、
     となりますと、他の家族の方が黙っちゃいない不測の事態に発展する恐れが
     ございます
ので、そのままだし汁を少しずつお入れになって頂きたいと存じます。

     また、このとき味が濃すぎる、薄すぎると言った不満がでないように、
     少しずつ調味料を加えながら味見をしつつ、それぞれお好みの味にされるように
     致しましょう。


     さて、そろそろ味付けも終わり、豚バラ肉も軽く焦げ目がついてきた頃と存じます。


     キッチンには豚バラ肉の香ばしい香りが溢れ、その香りが他の部屋に届き。

     「おっ、いい匂いだな」
     「今晩のおかずはなにかしら」
     「お腹空いた」

     と他のみなさんが感じられていることでしょう。
     では次に進みましょう。


9、たまねぎ(薄くスライスしたもの)、
  または長ネギ(細長く切ったもの)を
  炒めた豚バラ肉と一緒に炒める。



     フライパンの豚バラ肉にほんのりと焦げ目がつきましたら、
     そこに玉ねぎをスライスしたもの、あるいは長ねぎを細長く切ったものを加え、
     いっしょに炒めます。ここでお知らせしたいことは、

     「たまねぎ、または長ねぎはしんなりするほど炒めればいい」

     ということでございます。

     これは玉ねぎ、または長ねぎのもつシャキシャキとした食感を味わって頂きたいことと、
     本来玉ねぎ、または長ねぎが持つ甘味のあるおいしさと香ばしい豚バラ肉の相性が
     とてもよいためでございます。ですから豚バラ肉のように焦げ目をつけるまで、
     あるいはカレーの際の「甘みを出すために茶色になるまで」、という状態の前の、
     「クタクタになる前まで」で結構です。

     ですがほとんど炒めず「芯が残る」状態では、あまり頂けませんね。
     そこで炒める際の簡単な目安は、

     「やや全体的にさ、フライパンの中の玉ねぎ、または長ねぎが、
      なんかこう、透明な感じになってきたよね」


     と見てとれる頃合いで結構と存じます。


10、火を止め、あらかじめ水でもどした
   ワカメをフライパンの中に入れる。



     たまねぎ、または長ねぎを豚バラ肉と炒め、しんなりとしてきたら、
     そこにさきほど水で戻しておいたワカメを加えましょう。
     このとき、ワカメのシャキシャキとした食感を、炒める事で水分が飛んで
     カサカサの食感にしてはもったいのうございます。
     最近、「MOTTAINAI」が世界の言葉になったようにもったいないことは
     日本では是が非でも、なんとしてでも食い止めなければなりません。
     その解決策は簡単。フライパンの火を止めて余熱の状態になったところで
     ワカメを加えるとよろしいでしょう。そしてワカメを炒めるというより
     「混ぜ合わせる」ような感覚で他の具材と一緒に合わせるだけで結構
です。

     あとは少々お味見をして、お好みの味かどうか確かめて、少々違う場合は
     少々足りないなと考える調味料を少々ずつ入れて味を調えましょう。
     これで、五島うどんの上に載せる「豚ねぎ炒め」の部分は完成です。
     いよいよ最終仕上げへと参りましょう。



11、アゴダシスープを温め、
   茹でた五島うどんを入れる。



     では、先ほど作ったアゴダシスープを小鍋で温めましょう。
     これは沸騰するまでではなく、「人が『熱いな』と言いながらも飲めるほど」の温度で
     結構です。ちょうど表面に湯気が出てくる頃合いと申せばよろしいでしょうか。
     頃合いを見てアゴダシスープが温まったところで、先ほど茹でた五島うどんを
     この中に入れましょう。

     「この中でうどん作るのか」
     「盛り付ける器ぐらい持ってるぞ」
     「そうだそうだ」

     と今お考えになった方は、早計というものでございます。
     茹でたうどんをアゴダシスープに入れるのは、一旦茹でた五島うどんを温め、
     くっついた部分をほどくことができ、さらに五島うどん自体にもアゴダシを下味として
     つけることができる、という、まさしく一挙両得の効果があるからでございます。
     この五島うどん自体に下味をつけるというのは味に統一感が生まれ、
     おいしさも格段に上がります。

     「いつまでつけていればいいの」
     「このままだったらうどんが伸びちゃうぞ」
     「そうだそうだ、今度こそそうだ

     とお考えになった方、残念ながらまた早計というものでございます。
     こちらは「くっついた五島うどんがほどける程度」のお時間で結構です。
     下味と申しましたが、じっくりと味をつけるというよりは、盛り付けた時に水や湯で
     温めるとうどんの表面に水や湯が残り、若干ではありますがスープの味が薄くなります。
     ですから味のバランスを考えてうどんもアゴダシスープにつけているのです。
     わかりやすく申しますと「五島うどんを入れたときにスープが薄くならないため」
     お考えになるとわかりやすいかと存じます。
     何事も話は最後まで聞くものでございますね。


12、下味をつけた五島うどんを器に入れ、
   「豚ねぎ炒め」を上に盛る。



     五島うどんがアゴダシスープの中でほどけて、幾分温められたとお考えになられたら、
     盛り付ける器の中に五島うどんだけをまず入れましょう。まあアゴダシスープも幾分は
     入りますが、幾分は幾分、一度に五島うどんとアゴダシスープをお入れになられますと、
     具である豚ねぎ炒めが五島うどんの上に盛らずにアゴダシスープの上で浮いてしまう形と
     なり、大変不恰好になってしまいます。見た目がすべて、とは申しませんが、
     見た目の良いのは食欲を引き出しますので、
     最後まで手抜かりがないように努めましょう。

     そうそう盛り付ける器ですが、どんぶり状のものであるなら、和風でも洋風でも、
     耐熱グラスでもアルミ製でも縄文時代特有の縄目模様のついた土の器でも
     なんでも結構でございます。
     
     そこに、豚ねぎ炒めを人数分、均等になるようにそれぞれ五島うどんの上に盛ります。
     こういうとき、もうかなりお家の中では茹でた五島うどんの匂いやアゴダシスープの
     おいしい香り、豚ねぎ炒めの香ばしく甘い香りが立ち込めていると思いますので、
     中にはキッチンまでやってきて取り分けている様子を見ながら

     「おれ、豚肉ちょっと多めね」や、
     「玉ねぎたくさん入ってるのはどれかしら」
     「その炒めた脂もちょっとうどんの上からかけといてよ、それがまたおいしいんだから」

     など、さまざまなことをリクエスト、注文として言われるケースがあるやもしれません。
     ご気分が優れないときにかように横から言われますと、うっとうしい、と
     口にしがちですが、それではこちらの問題にもなりかねません。
     そこで、そんな時の解決策となる一言をご紹介しましょう。
     まず何を言われても知らん顔をして微笑みながら取り分けて、最後まで取り分け終わって
     後に、冷静に低い声で呪文のように抑揚をつけずにこう言いましょう。

     「文句ある人は晩ご飯抜き」

     さあ、これでみなさんくるりと回れ右して食卓に向かうことでしょう。
     お試し下さいませ。


13、適量のアゴダシスープを器に注ぐ。



     器に五島うどん、豚ねぎ炒めを順に盛り付け終わったら、最後にアゴダシスープを適量、
     器にそっと注ぎましょう。
     適量と申しましたのは、あまり入れすぎますと「具材入りアゴダシスープ」
     少なすぎますと「豚ねぎ脂うどん」と名称が変化する恐れがあるからでございます。
     「ちょうど五島うどんがスープの中に浸かる程度、盛られている豚ねぎ炒めが
     アゴダシスープで浮かない程度」にアゴダシスープを注ぎましょう。

     はい、お待ちどうさまでございました。
     これで「あったか豚ねぎうどん」の完成でございます。


※お好みにより青ねぎ、天かすをのせる。



     最後に、食べる前に薬味として、刻んだ青ねぎ、天かすを上にお好みでのせましょう。
     青ねぎはもちろんおいしゅうございますが、天かすはのせると食感や甘みが
     増したような味わいとなりますので、どうか一度お試し下さい。
     ただ、カロリー、体調のことを十分考慮してのせ過ぎにはご注意下さい。


14、できあがり。



     短編小説「あったか豚ねぎうどんの夜」

          「義父さん、五島うどんが五鳥うどんに
       なってますよ。ご、ごとりって。
       ウフフフ・・・」


           不覚であった。不覚であった。不覚であった・・・
        【ペン習字練習帳~30日でグングン字がキレイになる!~】
        の【島】の項を一心不乱に書き続ける春男の頭の中には
        その事しか言葉がなかったと言っていい。

        【島】と【鳥】を間違えたのは、まあいい。私も年を取ったし、
        些細な間違いなど、これから多くあるだろうとある程度は
        予測できていた。それはいいんだ・・・しかし・・・。

        春男が本当に不覚と考えていたのは、そんなことを予測できていた
        にもかかわらず、不意に幼稚な反応を見せてしまった自分の対応の
        稚拙さ、であった。

        「そそそ、そんなもん、わかっとるわい!」

        なぜだ、なぜそんな言い方しか返せなかったのだ。私ももう還暦を
        迎えた身、ウィット、エスプリの利いたとまでは言わないが、
        年相応、息子の嫁と義理の父という関係相応の言い方がほかに
        あっただろうに。なぜだ、どうして、どうして・・・。

        そんな春男が本屋で偶然見つけた【ペン習字練習帳
        ~30日でグングン字がキレイになる!~】を感情の赴くまま、
        それこそ手探りで自らの解決策としてレジに持っていったのは、
        妻・直子も驚いた出来事であった。

        「あの出来事がそんなに心に深く残っていたとはね・・・」

        直子は豚バラ肉を炒めながらそうつぶやいていた。
        もちろん誰が悪いわけでもない。その後息子夫婦と私たちとの
        関係に亀裂がはいったわけでもない。聡子さんもあの時のことを
        その場で陳謝したし、恐らく春男もそんなことを怒っている理由に
        しているわけではないだろう。
        しかし、あれから春男の行動に大きな変化があったことに
        気づかない直子ではなかった。もちろん知的なことに関心の無い
        夫がペン習字の本を買って来たことにも驚いたが、その本を
        誰かに言われたとおりに毎晩夜遅くに練習し、もうすぐ
        30日になるというところまで続いていることに驚いていたのだった。
        また、「あの出来事」以来、春男の普段の眼差しにも変化があった、
        と直子は感じている。春男の目が、若い時、そう二人が出会った時の、
        あのキラキラとした瞳に、ちょうど色あせてしまった写真に
        少しずつあの時あった色が思い出せてくるように、春男の
        瞳の輝きが最近戻ってきているような気がしてならないのだ。

        「はい、お父さん、お夜食作りましたから、どうぞ」
        「あ、母さんすまない。・・・何だか、受験生みたいだな」
        「はいどうぞ、あったか豚ねぎうどん。
         量はちょっと受験生より少なめね」
        「こりゃ旨そうだ、いただきます」

        お腹がよほど空いていたのか、春男がせっかちにうどんをおいしそうに
        すするのを、直子は微笑ましく見ながら、こう言った。

        「私たち、まだまだ老け込むには早いわよね」

        その名の通り、あたたかい豚ねぎうどんをすすりながら、春男も
        そう思っていた。俺はまだ、成長できるかもしれない。
        例えばもう一度【島】を【鳥】と書いてもいいじゃないか。
        それならば、もう一度、勉強すればいいだけの話じゃないか。
        ずっと、がむしゃらでいいじゃないか。あきらめずに続けること、
        これだけで、十分に【青春】じゃないか。

        「そうだな、まだまだこれから、だな」
        「あ、あなたまた間違えてる」
        「え、うそ?」
        「ほら、【島】が【嶋】になってるじゃない。【山】が一つ多いわよ」
        「ハハハ本当だ、動かざること、なのに一つ増やしちゃイカンよな」
        「ウフフフフ・・・」
        もうすぐ暑い夏が来る、6月のことであった。

                               (終)



     いかがでしたか?私が紹介させて頂きますのは、ここまで。
     あとは、皆さんの食卓で、ぜひお試し下さい。
     では、次の料理でお会いいたしましょう。ごきげんよう。

   

今回、お使いした五島うどんの製麺所、『太田製麺所』。
実はこの製麺所、五島で一番長く続いている製麺所なんです。
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〒857-4404 長崎県南松浦郡新上五島町青方 1144-10
Tel/Fax 0120-52-2076


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