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※簡単な調理法はこちらをクリックすると別画面で印刷できます。


調理開始


1、鍋を用意する。



     では、お鍋でゆでる「五島炊き」を作ろうと思いますが、今回は材料のほかに、
     通常あまり言及されない、この料理に「必要なもの」からご紹介致しましょう。
     まずはやはりお鍋、なんですが、これは各ご家庭にあるお鍋でよろしいかと思います。
     しかし、もしも、

     「我が家には鍋がいっぱいある」

     「鍋専用の倉庫までウチにはあるんだ」


     という方で、【どの鍋を選べばいいのか、迷ってしまう】という場合もございましょう。

     そこで、ここからは【五島炊きに最適の鍋】について少々ご説明したいと思います。

   コラム 『うどん茹での掟・その1「鍋」』

     よく、うどんをゆでる際に語られているのが、
     『一番大きめの鍋で、それも鍋底ができるだけ深いもの』
     ということだと思います。というのは、乾麺のうどんは、茹でる量と比べて
     「多すぎるんじゃないか」と言われるほど、たくさんの量の水があれば、
     大量の麺を茹でる際にもそれぞれがくっつくことなく、また、一本一本の麺の、
     茹で上がりのばらつきも少なく、美味しく出来上がるからなんです。
     ただ、だからと言って、うどん専門店にあるような「寸胴型の大型鉄製鍋」では、
     ご存知の通り、あの商品は底が非常に深くなっておりますので、茹で上がったうどんを、
     ご家庭の普通の箸で取ろうとすると、熱湯、もしくは立ち上がる高温の蒸気によって、
     大けがをする可能性がございます。
     業務用品を扱うお店等には、そんな大鍋用のうどん掬いもございますが
     これもまた非常に長いものですので、うどんを取り上げるたびに、
     その人はやおら立ち上がって取る、という事態になります。

     また、その際に、高温のお湯しぶきが、取り上げた高さゆえに、鍋を中心として
     かなり広範囲の場所に飛び散る危険性
も、大いに指摘されておりますので、

     ・うどんを取り上げる際には、他の方は鍋のある部屋から一旦非難する。

     もしくは、

     ・全員、その際には高温の水がかかっても安全な防護服、
      ヘルメット、手袋、顔全体のマスク等で完全防備し、食卓に向かう。

      (防護服は、現在アルミ製で4~6万円ほどです。)

     等の、厳守される注意事項・心と体のご準備が必要となります。
     その他にもいくつか問題がございますが、この段階で「愉快で楽しい団欒の場の食卓」
     とは、大きく逸脱したものになっております
ので、老婆心ながらお止めになったほうが
     よろしいかと存じます。

     では、ご家族で食べるの適するお鍋の選び方ですが、
     茹でるうどんの量をひと束(約3人分)を一度に茹でる量とするのであれば、

     ・一般の方が4~5人分(?)のお鍋料理をする程の大きさのお鍋。

     がよろしいかと思います。


2、鍋に水を張る。



     さて、お鍋をご用意されたところで、次の段階は、そのお鍋に
     お水を入れることでございます。一口で水といいましても、昨今では幅広い種類の水
     (還元水など)がございますが、最近では水道水も以前と比べて、臭い、味等が、
     かなり改善されたこともあり、飲まれた段階で、よほど「やばいな」
     感じられない限りは、大丈夫と思います。
     こう書きますと、中には、「専門店では水にも気を使っているのでは?」と
     お思いになられる方もおられると思います。
     そこはそれ、お店も商売ですので、そのような形でがんばっていらっしゃるお店もあり、
     個人的な経験ですが、水道水で茹でていたお店もございます。
     また、大変恐縮なのですが、個人的な経験上、「水道水もあんまり使うな」という
     お店もございました。かようなことで、「旨さと節約のせめぎあい」
     食商いの要でございます。余り御気になさらずに、ここは

     ・普段、料理に使っている、普通の水だと思う水。

     で結構です。
     また、あらかじめ、やかん、ポット等でお湯を作ってから、お鍋に入れますと、
     調理のお時間の短縮になりますのでご活用下さい。

     それから、肝心の水の量ですが、「鍋の底から目分量で8分目」あたりで結構です。
     あまり多すぎますと沸騰する際に外側に沸騰したお湯がこぼれる
     「吹きこぼれ」ということが起きかねませんし、当社計測の結果では、
     通常の4~5人分のお鍋(直径26センチ)で8分目のお水の量は、
     【3分の4πr3乗】の公式に則って計算いたしますと、だいたい、おおよそ、
     文部科学省推奨のゆとり学習要領で答えられる範囲内で言いますと、
     3.679242665リットルと、これは「五島うどん一束を茹でる」にはちょうどよい量と、
     申し上げてもよいと思います。

     お水は鍋の8分目ほどに致しましょう。


3、鍋を火にかける。



     では、ここでは「鍋にただのお水を張った」状態として、お鍋の下のコンロに
     火をつけて参りたいと思います。「コンロの火」と言いましても、
     電気コンロ・IHコンロなどが最近は主流となってきております。
     今回使用するカセットコンロはもう「やや主流とはちがう」ものかもしれませんし、
     カセットボンベでは「十分な火力としては不足では?」との意見もあると存じますが、
     だからこそ「目に見えるように」「これほどの火力でもおいしく」できるものである、
     ということを御表現したい
と思い、今回の起用となりました。
     ではその最初の火力ですが、やはり調理の「時間の短縮化」を目指すなら、
     「強火」で結構と存じます。


     このように、かなりの火力(電気・IHの場合ですと『強』です)で行うわけですが、
     この時に、十分気をつけていただきたいのは、『吹きこぼれ』に注意することで
     ございます。ガスコンロの場合は、ご存知のように大変危険ですし、
     その他の電磁器においても、吹きこぼれの心配はしすぎるほどしても、
     決して損はないと力説させていただきます

     かようなことを申しますと、「なぜそんなに何度も繰り返すのか」といぶかしがる方も
     おられましょう。そこで、「お鍋の吹きこぼれ」があると、どのような惨事が起こるのか。
     ご説明したいと存じます。


        短編小説「鍋の夜」

            こんなに家族が一堂に集うのは、果たして何年ぶりだろう。
        聡子は台所で水菜を切りながら、ふとそう思った。

        「今日は、鍋にしようか・・・」

        普段、言葉数も少ない義父がふと、ぽつり、と言う例えが
        ぴったりと当てはまるほどの響きで発した、その言葉がきっかけで、
        今夜の夕食は、鍋になった。
        ただ、それだけ。ただそれだけなのに、家族がそれこそ
        瞬く間に、いくつかの諸事をてきぱきとこなしたのは、
        家族の日常を知る聡子にとっては、奇跡、と言っても良いものであった。

        まず義母の反応は早かった、と、聡子は記憶している。

        「じゃあ久しぶりにお鍋を用意しなくちゃいけませんはね。
         雄二、納戸の上の棚にあるから取ってきて頂戴。
         引き出しを開けたらすぐわかるところにあるからね。
         で、聡子さん悪いんだけど買い物ついてきて下さらない。
         私、一度してみたいお鍋があるのよ。
         全く、お父さんは、突然おっしゃるからびっくりするわね。
         ご自分ではまったく動かないくせに…」

        矢継ぎ早に出る義母の指示の的確さや、
        それに普段なら文句の一言はつける我が夫が、意外なほど
        あっさりと、あ、うん、の呼吸と返事で動いたことにも驚いたが、
        聡子が一番驚いたことは、てきぱきとこなす義母の、
        言葉とは裏腹な、晴れがましい笑顔だった。
        今日は、家族団欒ね。そんな意味がこもっていることは、
        この家に来て1年足らずの聡子にも、簡単に理解できたからだ。

        「もうお鍋のほう、火をつけてあっためといてもいいわよね」
        「ええ、お母様。もうお出汁も入れましたので、お願いします」
        「はいはい、わかりました」

        思えば、義母にとっては、最近はそれぞれで食事を作り、
        また、とることが多くなったのかもしれない。
        比較的円満な3世帯住居だとはいえ、共働きの私たちと、
        義父と義母、そして悠々自適な義祖母の過ごし方の違いは
        やはり歴然としたものがある。それぞれの幸せ、それぞれの
        暮らしを尊重するといえば、確かにそうだ。
        しかし、

        『たまには・・・』

        『せっかく・・・』

        そんな、言葉にならない思いを、言うタイミングだけを
        失ったまま、それぞれが抱えていることも、また、確かなのだ。

        宇宙が、ほんの偶然で、生命を宿す環境を作り出したように、
        今日、それぞれが今まで抱えた、

        『みんなで、また、いっしょに夕食でも』

        と言う言葉を、たまたま言うことができたならば、
        一体、この不思議は、どこからの贈り物なのだろう・・・。

        「ちょっと、聡子さん。何ぼうっとしてるの」
        「すいません、つい・・・」
        「そろそろお鍋、あったまったかしらね」
        「え、お母様が見てらっしゃったのでは」
        「いえね、こういうときは、お父さんにも、
         何かお仕事があったほうがいいと思ってね」
        「そうですわね、ハハハ」

        その時だった。義父の一言が発せられたのは・・・


     「おい!豆乳鍋が、豆乳鍋が!
    沸騰してどえらいことになっとるぞ!
    コ、コタツカバーのプーさんが
    真っ白じゃい!
    おい!プーさんが、プーさんが
    ビシャビシャになっとるんだぞぉお!」



        外はマイナス2度だった、1月のことである。

                               (終)



     以上のようにならないために、お鍋の吹きこぼれには、十分、気をつけて参りましょう。


4、薬味を用意する。



     五島炊きに欠かせないのは、やはり薬味ですね。
     五島うどんの地元、五島列島で薬味につかわれているものとして、

     ・きざんだ葱
     ・おろした生姜(市販されているものでも結構です)
     ・七味、一味等の唐辛子(市販されているものでも結構です)

     などが一般的に好まれている薬味と言われております。
     これは、五島うどんのダシが、比較的あっさりとしたアゴダシであることに
     大きく関係しているのでは、と推察できますね。
     また、他にも、

     ・ごま
     ・ゆずを搾ったもの(もしくは皮をきざんだもの)
     ・ゆず胡椒
     ・きざんだ大葉

     など、香ばしさや爽やかな酸味、またピリリとした辛みを加えても、
     大変おいしく頂けますし、地元では他に「魚の煮物の汁をつゆに」しても
     大変おいしいとの情報もございます。お試しくださいませ。

     まあ、薬味は個人個人の好みを大いに反映するものでございます。
     皆さんも『これも加えるとおいしくなるのでは?』とお考えになったお好きなものを、
     『料理の名称が変わらない範疇で』お選びになったらと存じます。
     ただ、まだ五島うどんを食べたことがない、という場合でしたら、
     まずはシンプルに「五島うどんとアゴダシだけ」で頂かれた方が
     自分の好みの薬味が選びやすくなります。
     なによりも最初は「その料理の本質の味を知る」ことが肝要でございますものね。


5、「アゴダシの素」の封を開け、
  中身をうどんのお椀に入れる。


     さて、いよいよ五島うどんを茹で上げ・・・となるところですが、
     その前に、お椀に入れるアゴダシのつゆの作り方をご説明いたしましょう。
     本来ならば、この部分は五島うどんを茹でているときにされているか、
     もしくは他の方と役割分担して行うことになるとは思います。
     ですが、同時に行うことによって生じる会話の盛り上がり、薬味の話の盛り上がりが、
     百に一つ、万に一つにも、鍋の吹きこぼれという惨事を防ぐため
     (「3、鍋に火をつれる」参照)
     ここは石橋を叩いて渡るがごとく慎重に行って参りましょう。

     まず、五島うどんについているアゴダシスープの素の袋を取りだしましょう。
     この袋には、地元でも五島うどんを食べるときに頻繁に使用されるアゴダシのつゆを
     粉末状にしたものが10g、入っております。300CC以上のお湯で溶かすため、
     つゆとしては、約3~4人分といった量でしょうか。
     ですので、インスタントラーメンのように「粉末は1人分だろ」という「うつけぶり」を
     発揮されますと、食べる際に自分も含め、全員に大いなる迷惑をおかけしかねないことに
     なります。また、「人のことなんてどうでもいい。オレ様はたっぷりと濃い味で
     楽しみたいんだ。文句のあるやつはオレ様の前に出てこいよ」
という、
     まるで家に猫型万能ロボットがいるメガネ姿の少年に向かっていやがらせを言い出す
     八百屋の息子、みたいなことをいわれる方もいらっしゃるかも知れませんが、
     その前にどうか、
     「この鍋のものはみんなのもの。アゴダシの素もみんなのもの」
     という精神を努々お忘れなきようになさって頂けたらと存じます。

     なお、もしこのダシにちょっとしょうゆを加える、ゆずの香りをつける、
     など自分好みの味を加えたい方は、小鍋でアゴダシのつゆを人数分いっしょに作り、
     味を調えたらよろしいと存じます。
     その際には、ダシ汁を入れる「つゆ入れ、サーバー」もご用意下さい。
     「だったら、もっと本格的にアゴからダシを取りたい」という方、当ブログ内の
     「本格的!アゴからのダシの取り方」をご参照下さい。
     →「本格的!アゴからのダシの取り方」はこちらからどうぞ。


6、「アゴダシの素」が入ったお椀に
  お湯を入れてかき混ぜる。
  (「アゴダシのつゆ」の出来上がり。)



     アゴダシの素をお椀に入れ終えた後、お椀にお湯を注ぎましょう。
     この時ご注意して頂きたいのは、「少しずつ入れて、味を確かめる」ことですね。
     一度にたっぷりと注ぐとアゴダシのつゆが薄くなる可能性がございます。
     「薄い」と「あっさり」にはかなりの違いがございます。どうかご自分で
     味を確かめながら、お椀でつゆを作るという方はできれば2つ以上のお椀に同時に
     少しずつお湯を注いで食べる方全員で、お味を確かめながら、各自理想の
     「アゴダシのつゆ」を完成していただければ
と存じます。
     きっとうどんを茹でるときの会話に詰まったひとときが楽しくなりますし、
     調理の役割のない方にも「いっしょに作っているんだ」という
     連帯感も生まれてくることでしょう。


※「アゴダシのつゆ」の中に薬味を入れる。



     また、スープの完成前、お味見中に、「このつゆにはこんな薬味が合うな」
     とお考えになるのも楽しい瞬間でございます。
     その際にはお湯を入れ終わった直後に薬味を入れ始めていただいても結構です。
     「今から五島炊きが始まるぞ」という期待感、そんな食べる前の楽しい時間を
     演出なさってください。


7、五島うどんを袋から取り出し、
  うどんのみを取り出す。



     それではお待たせいたしました。
     本日の主役、五島うどんにご登場して頂きましょう。
     太田製麺所の五島うどんは袋に入っております。この袋は商品名を上にした状態の
     上部から縦に引っ張りますと、簡単に開けられる仕組みをなっております。
     もちろんハサミを使われましても結構です。

     袋の中には乾麺の五島うどんが250g、3人前ほどの量が入っております。
     見たときにはやはり、その麺の細さに驚かれることでしょう。
     手に取り出した感覚は、素麺というよりはパスタに近いかな、とお思いになられる方も
     いらっしゃると存じます。

     ただし、その細さを見て、茹でたらすぐに上げなきゃ、
     とお考えになるのは早計というもの。
     これからじっくりとご紹介いたしますが、これから茹で上げる際には、

     ・そうめんではなく、「うどんを茹でている」ということを忘れない。
     ・茹で上げてそのまま鍋から食べる料理ということを忘れない。
     ・吹きこぼれの危険性を忘れない。


     以上のことを念頭に置かれまして、いよいよ「茹で上げ」と参りましょう。


8、鍋の水が沸騰するまで待つ。



     「まだ茹でないのか」そんな意見が聞こえそうでございます。
     ですが、「まだです」とはっきりお答えさせていただきます。
     物には順序ありと申しまして、通常の説明でございますと、

     「グツグツと沸騰している鍋の中に五島うどんを入れる」

     となっているとは存じておりますが、本当に調理をしている段階でそんな順序良く
     ことが運ぶのでしょうか。ましてや、初めて五島うどんを茹でてようとされている方に
     そのような完璧な時間配分が可能と言えるのでしょうか。
     私、はっきり申し上げます。無茶でございます、と。
     本当に次に待っている段階は、

     「鍋の水が沸騰するのを、ただ注意深く、じっと待つ」

     という時間なのでございます。

     では、なぜこの順序は通常では書かれないのでしょうか。それは、

     「書くことがないから」

     当然、この章でも特筆すべきことはございません。
     ただこの時、できれば食事される方全員に是非見ていただきたいと思います。
     なぜなら、沸騰してくるに従って、

     「もうそろそろ入れてもいいんじゃないか」

     と、具材を投入することをやたらとせっつく方が現れるからです

     「少しでも早く食べたい」と欲求からか「頃合いに気づいているのは私だけなのかも」
     という疑心暗鬼からか、その真意はわかりかねますが、
     たいして完成時間も変わらないというのに

     「いや、まだよ」
     「全体的に泡がボコボコいわないと」

     などと返答すると、

     「いや、そろそろいいはずだ」

     などと、なぜか一歩も譲らない姿勢になり、ちょっとした言い争いになるという、
     「鍋を囲むよくある風景」が演出できます。
     これは大変ささいな出来事でございますし、調理の出来栄えにはまったく
     関係ございません
。しかしそれゆえ、

     「なにか、一家の団欒に『ちょっとした盛り上がり』がほしい」

     という方には、この瞬間がうってつけです。お試しくださいませ。


9、五島うどんを鍋に入れる。



     ようやく五島うどんも袋から出し、しかも鍋の水が沸騰して参りました。
     本当にお待たせいたしました。では、うどんをお鍋に入れましょう。
     今回は乾麺のうどんを横から持ち、向こうから手前に向かって均等に入れて見ました。
     しばしばこの乾麺の入れ方は、うどん以外にもそば、パスタ、素麺等でも
     議論されることが多うございます。

     「キレイな円になるようにバランスよく均等に入れる」
     「鍋中央に縦から入れ、軽く捻り込むように入れるとよい」

     等々諸説あるとは存じますが、五島うどんの場合、そして私事で大変恐縮ではありますが
     アルバイトでうどんを茹でる仕事をさせていただいた経験上、最も重要なのが、
     「入れる時より、入れた後に箸で動かしてくっつかないようにすること」
     と存じます。どんなキレイな入れ方をしてみたことで、そのままにするとうどん同士が
     くっつくのは皆さんもご承知の通りでしょうし、どう入れても、乾麺を調理された方なら、
     すぐに箸で動かすのも、また動かしたくなるのも、経験上ご存知のはず。
     ここは入れ方にこだわらず、さっさと五島うどんを入れ、そしててきぱきと箸で
     五島うどんを動かして、くっつかないように均等に割り振ることに専念致しましょう。

     また、この五島うどんをお鍋に入れる際にもう一つお願いしたいことは、
     「お鍋に五島うどんを入れた時の時刻を測る」
     ということです。基本的な茹で上がる時間として、例えば、太田製麺所の五島うどんを
     例にとると、「7分から10分頃」と言われております。この段階で時間を見ておくと、
     のちほど述べさせていただきます「茹で上がったか、味見する」頃合いの目安となり、
     大変便利です。この「時刻を見る」、「そんなこと当たり前ではないか」という方も
     おられましょうが、しばしば忘れやすい所作でございますので、老婆心ながら、
     追記させて頂きました。


10、お箸で鍋の中のうどんがバラバラに
   なるように、まんべんなく割り振る。



     さて、お鍋の中の五島うどんを箸で割り振る要領について、ご説明致しましょう。
     やり方としましては、

     「箸でうどんを持ち上げず、箸の横でソロリソロリと動かす」

     という要領で致された方がよいでしょう。
     これは、第一に、うどん全体を湯の中に入れたまま動かすことで、うどん全体が均等に
     熱を与えられ、部分的にかたい、やわらかいといういわゆる「茹でムラ」を防ぐことが
     できるから、という理由。
     そして第二に、高温のお湯が跳ね飛ぶ危険性を回避する、という理由。
     以上二点の理由のためでございます。

     簡単に思われるかもしれませんが、意外とこれが難しく、根気の必要な仕事と言えます。
     ぜひ調理に自信のある方にこの部分は任せられたほうがよいでしょう。
     また、この所作が簡単そうに見えるから起こり得る行動として、
     お子様から「ちょっとやらせて」と言われるかもしれませんが、
     なによりも高温のお湯を使用しておりますので大変危険でございます。

     ですから器用、不器用を問わず、調理の経験をまだ学んでおられないお子様には、
     このことを認識させた上で、あきらめさせましょう
     その際に、

     「もうちょっと大人になってからね」

     と一言付け加えると、ちょっとした「大人の階段の目安」にも言及でき、
     情操教育の一環としても大いにお役に立てる場面になるのでは、と存じます。


11、【10】を繰り返す。



     うどんを茹でながら鍋の中で割り振る際に必要なことがもう一つございます。
     それは、

     「均等にうどんを動かしてくっつかなくなれば、後は自然に任せる」

     これは、とかくグチャグチャと箸で動かし続けられることがこの一連の所作の中で
     よくお見かけされますが、入れた直後にうどんがくっつかないように
     割り振ることは除いて、それ以降、うどんが少し柔らかくなり、箸で動かす際に
     「しなやかにくねる」ようになりましたら、お鍋の中のお湯の対流で動くのに任せて、
     あまり触らないようにしましょう。
     このほうが麺の表面も傷つかず、ツルツルとした食感が楽しめますし、疲れません
     ただ、箸は動かさなくとも目は離さず、もしお湯がさらなる沸騰でお鍋から溢れ、
     あの忌々しい「吹きこぼれ」が起こりそうになった場合は、火力の調節を、
     または多少の冷水を鍋にかけてお湯の表面の沸騰をたちどころに抑える「差し水」、
     いわゆる「びっくり水」を投入致しましょう


     この際の「びっくり水」は子供の目に楽しい科学反応でございますが、
     だからと言って何度もせがまれての「びっくり水の連続投入」はうどんの
     均等な茹で上げに大きな、よくない影響を与えますので、最初から火力を調節する、
     または子供の瞳輝く反応が見たい一心で必要もなくびっくり水を投入してしまった
     場合は、

     「あれは珍しい現象のときにだけするものなのよ」

     と言いつつ、その後はなぜかすばやく火力レバーを調節する

     等の不可解なイメージを残す対応を致しましょう。
     ご安心下さい。今は説明せずとも、大人になればすべて理解してもらえる日が来る、
     そのような考えでことに臨まれるとよいと存じます。


12、お鍋で茹でている五島うどんが
   茹で上がったか、味見する。


     お鍋の中の五島うどんが茹で上げるまで、基本的には7~10分ほどと言われております。
     (太田製麺所五島うどんの袋の裏を参照のこと)
     7分から10分と3分間も開きがありますのは、その調理の完成形や、
     食べ方によって大きく「茹でられた五島うどん」の頃合い、わかりやすく申しますと、
     食べる時にちょうどいい硬さというものが変わってくるからです。

     例えば、この五島炊きの場合、完成し、茹で上がったとして、食べるときは、
     それぞれのお椀に入れることになるのですが、鍋の中のうどんをすべて入れ終わる量では
     ないならば、もしくは少しずつ五島うどんをお椀に入れるのであれば、
     お鍋に残ったうどんは例え火を止めてしまっても、刻々とお湯によって
     「少しずつ茹でられている」状態になります。
     ですから味見した段階で「これ以上茹でれば柔らかくなりすぎる」という状態で
     食べ始めると、食べている途中から、つまり2度目以降に鍋から取り入れた際のうどんは
     「茹で過ぎ」の状態になってしまうのです。

     このようなことを回避するため、この茹であげうどんの場合では、

     〇茹でられたうどんが「少し硬め」、または「ほんの少し硬め」の状態かどうか。

     この点を味見を召し上がる際の目安としてお考え頂きたいと存じます。

     では、実際に茹で上がったどうか、五島うどんを一本味見してみましょう。


     少しさましてお手に取り、お味見してみると、


     少し、硬すぎたようです。


     しばらく経過いたしました。もう一度お味見してみましょう。
     また五島うどんを一本とってみます。もういいと存じます。



     撤回いたします。まだ少し、食べるには硬すぎたようです。
     やはり見た目だけではなく、実際に試食することを忘れてはいけませんね。


     またしばらく経ちました。もういい頃とは、もう申せません。
     実際に味見してから判断いたしたいと存じます。
     もう一本、取り上げてみます。



     大丈夫です。少し硬めで、でも食べる頃にはちょうどいい程度になりそうな、
     まさに「食べ頃」のうどんに茹で上がりました。
     一安心、と言ったところでございましょうか。

     この際にお忘れになってはいけないことは、

      ・火を止めること
     ・食べる方全員がお鍋の周りにいない場合は、
      「ごはんできたわよ」と呼びかけること。
     ・間違っても味見のうちから結構な量を「食べ初め」ないこと。


     以上三点を挙げさせて頂きます。


13、お椀に入れて、いただきます。



     さ、もう何も申しません。
     五島うどん独特の細さ、しっかりしたコシ、見た目にも艶やかなツヤを、
     そしてあっさりとしつこさがなく、それでいて上品なコクのあるアゴダシの旨さを、
     どうぞ熱いうちにお召し上がり下さい。







※お椀に卵を溶き入れて、いただきます。



     最後に、とっておきのおいしい茹であげうどんの食べ方をご紹介いたします。
     これは地元、五島でも好まれている食べ方ですが、お椀に生卵を入れ、
     お箸で溶いたものにあったかい五島うどんを取り入れて召し上がる、
     という食べ方がございます。
     卵の濃厚な味わいを細い五島うどんがしっかりと絡み取りっておいしく召し上がれます。
     また、溶き卵にアゴダシのつゆやお醤油を少々、垂らす程度に入れられても、
     おいしく召し上がれます。是非お試し下さいませ。



     いかがでしたか?私が紹介させて頂きますのは、ここまで。
     あとは、皆さんの食卓で、ぜひお試し下さい。
     では、次の料理でお会いいたしましょう。ごきげんよう。

   

今回、お使いした五島うどんの製麺所、『太田製麺所』。
実はこの製麺所、五島で一番長く続いている製麺所なんです。
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   〇お中元、お歳暮の贈答品にぜひ、太田製麺所の五島うどん

   ★太田製麺所の五島うどんは、誰もが知っている「うどん」の中でも、
    知名度、流通量ともに、現在とても希少価値のある商品です。
   ★セット商品には、うどん内容量と同じ人数分の「あごだしスープ(粉末)」も
    入っており、これ一箱で五島うどんの本格的な味が楽しめます。
   ★お中元には冷やしうどん、お歳暮には釜ゆでうどんとして季節を問わず、
    おいしく召し上がっていただけます。
   ★当商品は日持ちする乾麺ですので、贈り物に最適です。
   ★御親戚や御友人など大人数の方に贈る場合でも、大変お求めやすい価格です。


太田製麺所
〒857-4404 長崎県南松浦郡新上五島町青方 1144-10
Tel/Fax  0120-52-2076


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